供花について

供花は祭壇などに添える花をいい、お葬式では故人へのお悔やみの気持ちを込めて贈り祭壇の両側に飾られます。
供える花の種類はそれぞれ違った物になりますが、死者に花を供えるという行為は国や宗教に関わらず広く共通したものです。日本における葬儀の中でもやはり花は欠かせない物の一つです。近年では葬儀自体の規模の縮小や簡素化が進んでいますが、祭壇に飾られる花は華やかさを増しているように感じます。かつての葬儀での花というと菊などが中心でしたが、近年ではユリやカーネーションなどの様々な種類の花が使われるようになりました。そのような美しい花々が葬儀を終えた後は処分されてしまうというのも残念な気がする方も多い一方、葬儀で使用した花々は故人へたむけられた物ですので持ち帰るべきではないと考える人も多くいらっしゃるかと思います。

供花を持ち帰る場合の縁起の面についてですが、実際は人や地域によって考え方が異なります。縁起が悪いと捉える主な理由としては、供花を故人の魂と同等に捉え「供花を持ち帰る=故人の魂を持ち帰ること」という意味合いで供花を持ち帰る事はタブーとする考えがあります。また、先にも述べた様に葬儀で使用した花は故人へたむけた物なので持ち帰るべきではないと考える人もいます。人によっては、そもそも葬儀に使われたお花は縁起が悪いとして捉える方や厄が家に入ってしまうと心配になる方や、葬儀で使用した花を貰って帰るのはみっともない行為や使い回しだと考える方もいらっしゃいます。縁起が悪いから持ち帰らないとまではいかなくても、死は穢れという捉え方が残っていたりなんとなくのニュアンスで、花を貰って帰ったものの花に塩をまいてから家に入れたという話を聞く事も少なくありません。
一方で、葬儀に使われた花々は厄払いされた物とし、縁起が良いと考える風習もあります。特に長寿で亡くなった方の葬儀で使用されていた花々は長寿にあやかると歓迎されたり、仏様へあげた花は仏様の功徳を受けられると捉えるというような理由からです。
この様に、供花を持ち帰るという行為については理由も含め地域や人によって考え方や捉え方が大きく異なるものですがいずれの考えも間違いではありません。

持ち帰る場合のマナー

供花を持ち帰る際の縁起の良し悪しについては地域や人によって異なるとお伝えしましたが、実際には縁起が良い・悪いの捉え方については個人の感覚による部分でもあります。故人を想う参列者の気持ちは皆同じなのですから、その地域の風習に従い周囲の雰囲気に合わせた行動をしうまく気遣いが出来れば問題ないと言えます。
実際に葬儀で花の持ち帰りを勧められたり持ち帰るという事になったら「(故人の名前)さんを偲んでお部屋に飾らせて頂きます」と一言添えて持ち帰ると良いでしょう。反対に持ち帰る事に抵抗がある場合には、用事がありすぐ花を生ける事ができませんというような旨を伝えるなどして相手を気遣った断り方をすると良いでしょう。